サジタリアスクロス
誰がどう見ても黄金聖闘士の中での一番贔屓、サジタリアスである。元のデザインが秀逸なため、当然それをもとにした聖衣大系もどうにも他の聖衣と一線を画す仕上がりとなっている。
例えば、翼。原作初期では背中に翼をもつクロスはなく、サジタリアスが別格なのがよくわかる。ただ、翼があるだけではなく、一部だけだが可動式になっているのだ。聖衣大系の中では、さすがの仕上がりである。
ちなみに私は、親戚の家に遊びに行き、もらったお小遣いで近くのデパートへ行って、ウキウキしながら買った。初期ペガサス、スカイセイントクロスと合わせて当時持っていた聖衣大系の一つである。さらに余談だが、その際にアリエスと散々迷った。アリエスのムウもキャラクターや、肩の角のギミックが面白くて気に入っていた。結局は王道のサジタリアスを買った。
仕方ないの無いことだが、腕のギミックは完全再現できていない。原作では、通常の腕のパーツの上にさらに別のパーツが重なるという二重構造になっている。これを高々10数cmのフィギュアで再現することは不可能だろう。したがって台座状態のサジタリアスの腕は特に何もつけられていない。
後ろ足も独特の工夫がされている。脛のパーツが前後逆にはめられている。他のパーツとの長さの調整のこともあったのだろう。これも仕方ないのかな。ただ、右前足を曲げているところを再現しているのだから、素晴らしい。
腕は可動式である。弓の角度をいろいろ試すことが出来る。弓矢は台座の人形がもつように作られているため、つけたり外したりするのに苦労はない。人形状態では弓矢を持たせるのはしんどかったが。
台座も良く見れば結構地が目立っている。それを翼や腰のパーツの開き方、肩のパーツの重ね方などを工夫して見えないようになっている。特に肩のパーツ、よく見ればほとんど重なっていないのだ。腰の後ろ側から初めて肩を二つ並べることで半身半馬の形がよく出ている。
両足のメッキの色が違って見えるなぁ。実物は一緒なんだけど。 人形は残念ながら似ていない。似ていないどころか髪の色すらも異なっているので残念だ。近い色というわけでもない。この辺は初期に発売された商品の宿命、やや玩具としての仕上がりの甘さを感じてしまう。とはいうものの、今の価値観で見てしまうからそうなるのであって、こういう支点はあまりよくないのだが、ついしてしまう。
同じく、マスクももう少しきれいにして欲しかったのだが、これは当時の聖衣大系のサイズなら仕方がないか。弟であるレオクロスなどに比べたらはるかにマシな作りではある。と言ってもあのマスクは、特徴的なデザインなのでぜひとも正確に再現してほしかった。(ちなみに、プラモデルのサジタリアスDXでは、見事なまでにそのマスクの形が再現されている。)
台座では簡単に弓矢を持たせることが出来たのだが、なぜか人形状態ではあまりきちんと持つことが出来ない。弓が太すぎるということと、人形の手がつかむように出来ていないためだ。せめて台座のような手ならば装着できただろうに…。下の写真は無理やり装着させている。
人形状態を眺めていると、さすがに風格があるなぁと思う。プラモデルのときもそうだったが、作者がこれほどに目をかけているのだから、当たり前か。なお、人形状態で翼をつけてスマートなのはサジタリアスだけではないだろうか。
ペガサスやキグナス、フェニックスはよく言えば豪華、悪く言えばごちゃごちゃしている気がする。下の写真のように体のラインを壊さずに翼が豪華に見えているというのはなかなか完成度が高いといえるのではないだろうか。
翼を広げて弓を構えるとポセイドン編のラストを思い出す。幸か不幸か、後ろに沿ったポーズは聖衣大系でも可能なので、きちんと構えたらあのシーンがきちんと再現できるだろう。